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偉大な発明や発見が、研究室や実験室ではなく、実は散歩中などのリラックスしている時に生まれることが多い、という事実は、よく知られています。
あまり張りつめてばかりいないで、少し休憩しましょう。
■ 戦略的ソロバン勘定(2006.12.02)

 郵政民営化に反対した、いわゆる造反組の自民党復党が事実上決まったことが、話題になっています。
 これは、明らかに来年の参院選目当ての決定です。彼らは、党の方針に反する主張を掲げて無所属で戦いながら、対立候補を退けて当選したことからも、地元での支持基盤がしっかりしていることだけは確かです。参院選では、その彼らの“支持基盤”が欲しい、ということだと思います。
 聞けは、青木参院議員会長は、都内の中華料理店で安倍首相に対して、参院選の候補者一覧を示しながら個々の選挙区の状況を説明し、「造反組の応援がないと勝てない」という話をしたと言われています。
 参院選で勝てば長期政権も夢ではないが、もし負ければ、あなたはそこでオシマイだ、と迫ったとも伝えられています。

 しかし、果たしてこれが参院選における自民党の勝利につながるのでしょうか。もちろん、結果は誰にも分かりませんが、私には大局観のない、戦略性に欠けた近視眼的な決定に思えるのです。なぜなら、理屈に反することをしても、大多数の国民がソッポを向くと思うからです。
 郵政民営化に反対し、その考え方を支持した人の票によって議席を得たはずの代議士が、当選後にそれを覆すというのは、まずもって選挙民を愚弄する、断じて許し難い行為です。それでは、ただの嘘つきです。
 彼らの“支持基盤”だったはずの人たちが、来年の参院選で、その“裏切り者”による選挙の応援を、素直に受け入れるでしょうか。
 そして何より、「利権」で癒着した政治システムによって、「最大多数の最大幸福」という民主主義の根幹を蹂躙されてきた、と感じている大多数の国民が、「既得権益者の代表」を復党させたことに納得するでしょうか。

 従来型の「票読み」という近視眼的な手法で来年の選挙を分析し、一般市民の存在を忘れたところには
、ビジョンも大局観も存在しません。
 予測可能な一部のノイジーマイノリティを中心とした票読みなどではなく、無党派層の「声なき声」、言い換えれば、マジョリティをいかに取り込むか、という戦略がなければ、この情報化時代の選挙には勝てないことが、前回の総選挙ではっきりしているはずです。
 パレートの法則から考えても、どちらに軸足を置いた方が得策なのかは、子どもでも分かる理屈です。しかし、彼らがそのようにしないのは、ただ怖いからです。自分の目に見えないものは理解できないから、自分の半径1m以内でしか物事を考えられないのです。

 私たちビジネスマンは、この自民党の迷走から学ぶことができます。それは、近視眼的に物事を考えるのではなく、大局から物事の本質を冷徹に見極め、そこから“ソロバン”を弾かなければビジネスが衰退する、ということです。
 なぜなら、ビジネスは多くの場合、多数の支持を得て先に市場を押さえた製品やサービスが、一人勝ち、もしくはそれに近い状態で生き残るからです。
 失礼ながら、日本でペプシが苦戦しているのは、日本市場が閉鎖的だからではありません。コカコーラが先にマーケットを押さえ、「コーラと言えばコカコーラ」という意識が日本人の中に植え付けられているからです。かくいう私も、「何となく」昔から飲み慣れたコカコーラを選んでしまいます。
 私たちは、目の前の商談や過去の成功体験という狭い範囲からではなく、マーケットの変化や新しいニーズに対して、常に目を配りたいものです。
 そうでなければ、目先の利権や票読みにしか興味のない、どこぞの世界の人たちと同じレベルの人間になってしまいます。


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